未知との遭遇が算数・数学を得意にする
抽象と具体は学習の過程で必ず現れます。
算数・数学はとりわけ抽象の度合いが高い学習です。
抽象とは共通点を見出す行動です。
異なるものを同じものとして扱うことになります。
人間3人と人間2人で合計5人。
りんご3個とりんご2個で合計5個。
これをどちらも3+2=5と捉えるのが抽象です。
このぐらいなら「そんなものは同じだよ」と言える人がほとんどです。
しかしそれがもっと進行していきます。
先日は「扇形と三角形は同じとも言える」という話を中3にしました。
ここまでくると、「それは別だ」と言いたくなる人も増えてくるはずです。
抽象につまづいてしまう人が、算数や数学を次第に苦手だと感じるようになります。
では、抽象化の練習をと考える人が多いはずです。
それが効果が出ることもあれば出ないこともあります。
その差はどこにあるのでしょうか。
「具体が不足している」ことが非常に多いのが差の一つです。
私達の学習は必ず、「具体から抽象へ」進んでいきます。
小学校・中学校でいきなり公式を理解してから運用を考えるようなことはなかったはずです。
だから、抽象が難しい場合ほど具体が不足していることがありえます。
自分がかろうじて興味を持てる何かを毎日動画で眺めるだけでは、具体は決して増えません。
これまで知らなかったことを知ること。
やったことのなかったことをやること。
行ったことのない深さで味わうこと。
そういう未知との遭遇を繰り返して初めて、具体が蓄積されていきます。
豊かな具体があれば、未知の抽象に対しても「ああ、あれか」と納得できるようになります。
納得したものは記憶にも定着しますし、使いこなす能力も磨かれます。
そして算数・数学も得意だと言えるようになります。
だから、小学生のうちにどれだけ豊かな具体を子供に味わわせておくかが大事なのです。
豊かな具体とは遠いナニカに子供を漬け込んではいけません。