評定3は「普通」なのか? 通知表を見るときに親と子供が絶対に知っておくべき事実
通知票の評定3についての疑問
通知表が配布されて夏休みが始まっています。
書かれた数字に一喜一憂し、子供へのお説教も一通り済んだ頃合いでしょうか。
季節の恒例行事ですからそれはそれで仕方がないことです。
でも、通知表を見るときに絶対に知っておくべき事実を元にお話しているでしょうか?
多くの親御さんがちょっと勘違いしていることがあります。
もちろん子供たちもほぼ全てが勘違いしていることです。
ここを踏まえずに通知表を見てはいけません。
少なくとも、神奈川県の公立高校入試を考える上では絶対に押さえておきたい事実があります。
それは教科別評定の「3」についてです。
5段階評価の3は、果たして「普通」なのでしょうか?
なんとなく考えれば、真ん中の数字だから普通だと思いますよね。
1から5までの整数の平均も3ですから、やはり通知表の評定は3が普通なのでしょうか。
通知表の教科評定の平均は3.4
手元に神奈川県の古い資料があります。
神奈川県は以前は通知表の中学校別・教科別・評定別の人数割合を発表していました。
各公立中学校の通知表で、1〜5の5段階評価を何%の生徒が獲得したかを一覧にしていたのです。
非常に良い資料だったのですが、現在は発表を停止しています。
平成17年とずいぶん古い資料に基づいたお話になることをご了解ください。
そのデータによると、神奈川県の公立中学校で各教科の評定は以下の割合で獲得されています。
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 音楽 | 美術 | 保体 | 技家 | 英語 | 全体 | |
1 | 4.7 | 5.4 | 7.3 | 5.5 | 4.7 | 4.4 | 4.1 | 4.4 | 6.4 | 5.3 |
2 | 11.4 | 13.2 | 14.9 | 12.9 | 11.3 | 10.2 | 8.6 | 10.1 | 15.4 | 12.3 |
3 | 38.5 | 33.9 | 28.9 | 32.9 | 36.7 | 38.0 | 38.1 | 37.8 | 31.1 | 34.7 |
4 | 29.8 | 30.4 | 30.9 | 32.3 | 32.7 | 33.7 | 36.3 | 35.2 | 28.2 | 31.8 |
5 | 15.6 | 17.1 | 18.1 | 16.5 | 14.7 | 13.8 | 12.9 | 12.5 | 19.0 | 15.9 |
教科毎に多少ばらつきはあります。
もちろん3を獲得している生徒がもっとも多い割合です。
しかし1〜3を獲得した生徒の合計は52.4%なのに対し、4または5の生徒は47.6%です。
つまり4または5を獲得した生徒はほぼ半数であり、3はどちらかといえばできてない側に分類可能です。
3は確かに真ん中ではあります。
しかしできない側でもあり、黄色信号でもあります。
上のデータを元に考えると、各教科の評定の平均値と合計値(45点満点)、入学試験に使われる内申値(135点満点)は以下の通りとなります。
国 | 社 | 数 | 理 | 音 | 美 | 保 | 技 | 英 | 合計 | 内申 |
3.40 | 3.41 | 3.38 | 3.42 | 3.42 | 3.43 | 3.45 | 3.41 | 3.38 | 30.7 | 92.1 |
どの教科も概ね3.4に近い値を取っていることがわかります。
つまり通知表の評定の普通は3.4であり、3ではないのです。
入試の内申に換算すれば92をとって初めて「普通」です。
通知表でオール3であれば合計は27点、135点満点への換算値は81点です。
「普通」であるためにはオール3に4が4つ程度必要であることが分かります。
こう考えても、オール3では普通より下であると考えるのが妥当です。
神奈川全県模試データでの偏差値50と内申例
青木学院のある相模原市内で偏差値50前後の生徒が多く進学する高校は上溝南高校と橋本高校です。
神奈川全県模試のデータを元にすると、合格者平均はそれぞれ以下のようになります。
高校 | 上溝南 | 橋本 |
偏差値 | 51.8 | 48.1 |
内申 | 104 | 97.3 |
2校の偏差値の中間がほぼ49.95、内申の中間が100.65です。
つまり偏差値50は内申101とみることができます。
上記の内申92とずれが出るのは、学力に不安がある生徒たちが県立高校受験を避けて私立高校の確約をとること、またそのような生徒たちは模擬試験を受けないことが理由です。
つまり、数値が低い生徒のデータが省かれた分、中央の値が上昇するわけです。
あくまで偏差値は母集団によって意味が変わることを 考慮に入れます。
神奈川県の公立高校受験を念頭に置くならば、偏差値50は内申101、通知表の合計は33〜34が目安です。
9教科オール4が36ですから、ほとんど4、2・3教科が3です。
改めて、オール3も通知表の3も高校受験のためには「普通」などではないことが分かります。
県相・弥栄・麻高ならば?
ちなみに相模原市内で大学受験を考えるならSAYS(県立相模原・麻溝台・弥栄・相模原中等)に進学しておくのが上策です。
相模原中等は中高一貫校ですのでさておくとして、残りの3高での合格者偏差値と内申はどうなっているかも見てみましょう。
高校 | 相模原 | 相模原弥栄 | 麻溝台 |
偏差値 | 64.1 | 58.4 | 56.3 |
内申 | 122.9 | 114.3 | 110.0 |
通知表の評定合計で言えば、県相41、弥栄38、麻溝台37が目安になります。
県相なら5教科オール5+実技教科オール4、弥栄と麻溝台はオール4に5教科の5をいくつ増やすか、です。
こういう実際のデータを元にして今後の行動をどう改善するかを考えて実行に移すべきです。
印象論で語っても現実を改善できる可能性は低いです。
もちろん青木学院では、このようなデータと生徒の学力を踏まえてお話をします。