ハマグリを焼くような仕事
僕がハマグリを焼くプロだと思っている女将さんがいます。
決して安いメニューではありませんが、女将さんが毎回目の前で七輪で焼いてくれるハマグリはとても美味しいです。
たまにしか行けないお店ですが、いいハマグリがあると聞いた時には必ず注文します。
女将さんの様子を観察していると、ハマグリを焼いているときの機嫌がちがうことがあります。
ハマグリのような貝の仲間は、春から夏にかけて丸々と育ちます。
しかし秋になると卵を産んで身が萎んでしまいます。
女将さんは、春夏のような大粒のハマグリを焼いている時の方がご機嫌です。
自分がいいものを提供しているのだというプライドがあるのでしょうね。
貝をひとつ焼くという仕事を、ただの作業のように感じてはこうはいきません。
自分の技術を磨いて良い仕事をするのだと考え続けていけば、女将さんのようにずっと一線で働けるでしょう。
今日いただいたハマグリも、秋とは思えないほど大粒の身でした。
女将さんがこぼさないよう大事に確保してくれたハマグリのつゆも、とても美味しかったです。
僕もこのような楽しい仕事を続けていけるように、と考えながらいただきました。