2021年夏休みに見るべき映画は「サイコト」
お盆休みにやるべきことと言えば、映画鑑賞でしょう。
長期休みがあるのに、映画館が手近にあるのに、映画を観に行かないとはどういう了見でしょうか。
およそ文化的活動というものに関心のない残念な人生を送るのでしょうか。
ましてこのご時世です。
夏の暑さからはエアコンで守られ、換気がしっかりされていて安全な、比較的安価な娯楽で、かつ総合芸術である映画を鑑賞できる映画館は最高です。
行かない理由が何一つありません。
塾長も仕事を終えた後のオールナイト上映でも行きたいくらいです。
もう行くしかないけど、何を観たらいいのか分からないという迷える皆様にお勧めします。
2021年夏に見るべきは「サイダーのように言葉が沸き上がる」です。
郊外のショッピングモールやその周辺の風景の中に、一瞬垣間見える若者たちの物語です。
このお話は大きな出来事が起きません。
世界を救いません。
巨悪と戦いません。
登場人物はみな何かを抱え、あるいは欠いて生きています。
その抱えているものも欠けているものも、実にささやかなものばかりです。
そこが実に生き生きと魅力的に描かれます。
私たちの人生にはささやかな悩みと喜びがあり、皆それに向き合って、時に目を背けて生きています。
それは実はとても素敵なものなのだよ、ということを見せてくれる映画です。
正しくも強くもない若者たちの言葉と心を、美しい画面と素晴らしい劇伴(映画で用いられる音楽)で描き出したとても良い作品です。
劇中で出てくる俳句(主人公の趣味)は、横浜翠嵐高校などの現役高校生が詠んだものが使われているのも良いです。
大人が子供に寄せたものではない辺りの、天然色の青さと言いましょうか。
エンディングで流れるnever young beachの主題歌を聴いた瞬間、ググっとこみ上げるものがありました。
ハリウッド大作やディズニー映画や国民的知名度映画も良いです。
でも私が勧めるなら断然「サイコト」です。
みなさんもぜひ劇場で。