「分からん」でも解く姿勢
生徒にたまに見せておく姿勢の一つに問題を読んだ直後に「分からん」と言うものがあります。
実際にその瞬間は、僕は何も考えに至っていませんから、嘘はついていません。
あくまで基礎基本の中の基礎基本が見え始めたレベル移項の生徒に限っていますが。
少しだけ基礎基本が分かり始めた生徒には、多少の欲が出てきます。
問題に正解したいという欲とでもいいましょうか。
正解することに意識を置きすぎて、早く答えを出したがります。
鮮やかな式を一つ立てて、ササッと正解が出てしまうような答案です。
しかし、現実はそう甘くありません。
真っ当な問題はそう単純にはできていないので、答案を書く手が止まります。
これが出始めるのが、偏差値60手前ぐらいでしょうね。
その上に行くためには、欲から一度離れて貰う必要があります。
虚心坦懐に問題と向き合うこと。
正しい姿勢と正しい行動と正しい分析で問題に向き合うことです。
心に正しい心で問題に素直に向き合えば、正解しようとしなくとも正解します。
基礎基本が十分に備わっていれば、正解するにはそれだけで十分なのです。
そこに正解したいだの何だのという邪念が入れば、解き方は濁ります。
その濁りが判断を狂わせ、心の余裕を失います。
あっという間に手が止まり失点し、不合格へ真っ逆さまです。
だから僕は一部の生徒に対して、「分からん」と言いながら基礎基本だけで問題を解いてみせます。
考え込まなくても、正しい手順が身についていればその通りに歩むだけで良い。
そういう実例を見せて、体験してもらいます。
この姿勢を真似られるようになれば、ちゃんと偏差値は70に向かい始めます。
存外難しいのですがね。