短期完成数学講座 算数の割合から鍛える
今日は短期完成数学講座の算数編を小学生とやっていました。
小学生算数の割合が中学生・高校生数学の必須事項
小学生の算数苦手のきっかけであり、中学生・高校生の数学苦手の原因となるのが割合に関する学習です。
割合や比例の考え方は、小学生の算数の間は百分率やその応用である濃度、速さの問題に関わります。
中学生・高校生の学習ではそれを応用した数学の文章題や図形の問題、さらには理科・物理・化学・生物の計算のベースにもなってくれます。
そのように大事な割合・単位量あたりの大きさの学習を小学生の間に本当に充分積んでいるかどうかは、とても重要です。
学校の算数のカラーテストで、問題に出ている数を何となく式に当てはめて「正解」が出ているだけの小学生は世に多いです。
そのような生徒が中学生・高校生となって数学が苦手になります。
曰く、「算数は得意だったのだけど」というやつです。
それは目先の答えに〇がつくことだけに考えが留まっていることが原因です。
目安をつけて考えたり、数同士の関係を考えたり、計算の工夫を「常に」試みたり。
そういうことをせずに、ただ只管公式に当てはめるだけの行動を学習とは呼びません。
割合は倍の考えと作図から
ではその割合をどのように捉えていくとよいでしょうか。
まずは、割合は倍の考え方の拡張であると考えましょう。
これは話が百分率や歩合になっても同じことです。
二つの数・量の比の話です。
比はどちらを基準として考えるかで話が違ってきます。
その基準を条件文から読み取る練習が必要です。
ここで助詞に注意して攻略するという考え方もあります。
しかしそれでは文意を読み取って考えるという学習の基本を外れることになります。
公式を覚えて代入している行動と大差はありません。
長期的な学力育成を考えるならば避けるほうが良いです。
実際に文意を読み取れているかを確かめるためには、問題文を読んで作図してみる練習がお勧めです。
線分図などを利用して、大小関係の感覚をつかみます。
それを通じて例えば「1倍とは」「1倍より大きい倍とは」「1倍より小さい倍とは」などという基本的な感覚を養います。
小学生でも中学生でも、1倍より小さい倍を扱っているのに元の数より大きな答えを出してしまう生徒がいます。
そんなことはないだろう、と思いたい保護者さんもいらっしゃいますが、事実です。
事前に倍の概念がきちんと習得できていれば答えの範囲の予想が大雑把にできます。
それも、毎回の学習を通じて答えの予想をする、目安をつける訓練をしてこそできることです。
無論圧倒的な学力がある生徒は誰に言われることなくそれをやってのけます。
我が子が圧倒的であると信じることもありでしょうが、基本的にそんなことはありません。
クラスの誰が見てもあの子は賢い、と思われるのが最低レベルです。
そうでないならば、身につくまで辛抱強くトレーニングあるのみです。
まずは具体的な事例としての数値に何度も向き合ってもらいたいです。
多くの事例と向き合うことで、そこにあるルールを体得できます。
そのルールを分かりやすく把握するために・自分が把握できているかを確認するために作図があります。
数字と文字だけで抽象的概念を把握するのは難しいことです。
しかし、算数や数学がずっと苦手なままの生徒ほど図を描きません。
自分で自主的に算数・数学を苦手なままにしているようなものです。
その最たるものの一つが割合の分野であると言えます。
中学生・高校生が数学が苦手なら小学生の算数まで戻ってみる
よく言われる話ですが、ある学習が苦手だと感じたときに、その感じた分野だけを何度もやり直しても意味がないことがあります。
それは、その分野・単元を苦手にしている原因に触れないままだからです。
繰り返しになりますが、数学の苦手は算数からくるものがあります。
出てきた数字を何となく計算するだけ、公式に数値を当てはめるだけでテストを「乗り切って」も、学力が十分ではないことが多いのです。
理解して使いこなせる=応用できるようになっているかどうかが、その先の学習で実りを得られるかどうかに影響します。
概念を十分に理解しているからこそ、応用が出来ます。
小学生の頃に算数を得意にしたまま、中学生・高校生の数学を得意にできる生徒はそこが違います。
一問一問について「なぜ?」ということを考え続けることが出来たわけです。
その「なぜ?」を通じた理解を重視せずに、目の前の一問の正解・不正解に拘泥し、一回のテストの得点に一喜一憂していて学力が伸びるでしょうか。
そのような生徒を、国公立大学や難関私立大学が欲しいと思うでしょうか。
そのような生徒が、国公立大学や難関私立大学で充実した学びを得られるでしょうか。
残念ながらどちらもあり得ませんよね。
ましてそのような人材が社会で活躍できるかと言えば、もう言うまでもないです。
たゆまぬ試行錯誤と検討とから、学力は磨かれます。
この学力とはたんに点数が良いという意味のことではありません。
文字通りの「学ぶ力」のことです。
目の前の一問から何を学び、どう賢くなっていくのかが重要です。
基礎基本の徹底で数学力を上げる
ことは算数・数学に限りませんが、基礎基本というのは何事においても効果を発揮します。
ここで言う基礎・基本とは、決して簡単なことという意味ではありません。
算数・数学が苦手な人がつい口にしてしまうことの一つに「文章題が苦手」という発言があります。
計算問題は得意だが、文章題が苦手だと思っているわけです。
実際にそうであれば話は早いのですが、そもそも計算問題でも十分な力を持っていない生徒が大半です。
計算の正確さも早さも不十分であるのに、文章題だけをやろうとするから伸びないのです。
これは先述した「苦手だと感じた単元だけをやり直そうとする」のと同じです。
計算問題を解いて50問、手が止まることなく間違うことなく解ききれるぐらいでなくてはいけません。
分野や学年にもよりますが小学生の算数・中学生の数学の基本レベルの計算問題に限れば、1問30秒以上かかってしまうならもうアウトです。
その時点で計算の能力が十分ではありません。
脳は計算が遅い状態を快楽だとは判断しません。
むしろ、苦痛を感じます。
苦痛だと感じているときに脳が順調に動くことはありません。
当然学習効率は上がりませんし、理解も進まず、定着も低いままです。
文章題を読んで題意を読み取って考えることもできなくなります。
そもそも考えることを苦痛に感じる脳にしてしまっている可能性もあります。
だからこそ、考えずに目の前の数字を加減乗除して乗り切ってしまっています。
こうなると悪循環としか言いようがありません。
そうならないためにも基礎基本を徹底的に理解して身につけましょう。
出来ないことを出来たふりをして誤魔化しても勝ち目はありません。
勝つためには勇気をもって撤退する必要があります。