不合格の痛み
僕たち塾講師が生徒と決定的に違うこと。
その一つは「不合格の痛みを知っている」という点です。
人間はなんの希望も持っていないことについては、痛みを感じません。
毎日「自分はなぜ石油王の子供ではないのか」と嘆いて涙を流す子供はいません。
実験レベルで言えば、ケーキのお話は分かりやすいです。
最初からケーキを与えられていない子供は、ケーキを食べられないことをストレスとしません。
しかし一度食べていいと与えられたケーキを取り上げられるのは、ストレスです。
合格するかもしれない・合格したいと思っているからこそ、不合格はのしかかります。
その不合格の辛さ・強さ・苦しさを僕たち塾はよく知っています。
どんな塾であっても、歴代すべての生徒を合格はさせられません。
志望を叶えられなかった生徒のことを考えて1年を過ごします。
だからこそ、不合格につながる行動を厳しく咎めます。
そんなに厳しく言わなくても、と思うこともあるでしょう。
でもそれは、不合格の痛みを知らない今だからそう思ってしまうのです。
不合格はある日突然やってくるのではありません。
日常の学習や生活をゆるがせにした結果として、順当に訪れます。
そうならないように、僕は生徒のノートを見て話をするのです。