大人が子供の自学力を奪うな
お母さんが我が子に望んでいるのは、幸せな人生を送ることでしょう。
では、幸せな人生の何を期待して塾に我が子を送っているのかと言えば、例えば学力向上の結果としてのテスト成功、入試合格でしょう。
いずれにせよ、極端に言えばテストの時に十分な正解答案を残せればよいわけです。
そうなるためには、練習の段階で学力を上げていくしかありません。
そう考えると日常の学習で重要なのは、そこで正解答案を残すことではありません。
必要なのは一問解いて正解することではなく、一問解いて学力を上げることです。
子供に一から十まで手を引くように解き方を教えて正解答案を残すことは、学力を上げません。
そうやって一度正解しても、二度目に正解できないならば意味がありません。
一度目に不正解でも、二度目に正解できれば良しです。
二度目がダメなら、三度目や四度目でもいいです。
できないものができるようになり、その再現度が上がることが学力向上の一つの表れです。
そのためには、生徒自身に粘り強く賢くなってもらうしかありません。
自学力をつけてもらうのです。
大人が手を貸せば貸すほど、子供たちが自分で行動したり思考したりする量は減ります。
試行錯誤する量も減ります。
それで子供が粘り強く学習できる生徒に成長するかと言えば、そんなことは考えにくいです。
大人が手を貸して問題集のページが進みさえすれば学習した、学習が終わったと子供たちが誤解しかねません。
賢くになるには頭を使うより他にありません。
その頭を大人が使っては、子供が使いません。
それでは賢くなりません。
子供の自学力を大人が奪ってはなりません。
子供が自分の手と目と頭を使っていくように、粘り強く声をかけて見守って待っていくのが大人のやれるベストです。
手と目と頭を使っていない様子があれば、そこを修正できるようにアプローチするべきです。
大事なのは正解の出し方を子供になぞらせることではありません。
何度も読んで図を描いて考えてチャレンジする姿勢を身につけてもらうことです。
そうやって頭を使っていけば、正解答案はきちんと生徒自身が作れるようになります。