親切が子供の芽をつむ
親切なのは大事なことだ。
誰だって他人に親切にしあう世の中の方がギスギスしなくていい。
困っている人間を助けられるなら助ける方がいい。
でも、親切の中には相手の力を削ぐものがある。
僕の仕事は子供達の学力を伸ばすことだ。
それは目の前の一問を正解してもらえばいいというものではない。
一から十まで答案のお手本を見せればいいというものではない。
それをしたところで、子供が自分の力で問題と向き合うようにはならないからだ。
試験が本番であるなら、本番では自分の力以外には何も当てにできない。
毎日隣でノートに口出しをしては学習の速度が上がらない。
口出ししてもらうと安心し切る子供は、自分の力で間違いを見つけることができない。
必定、自分の力で間違いを乗り越えることができない。
これでは学力がなかなか伸びない。
だから、口出しをしたい気持ちをグッと抑えて不親切にも見える対応をすることがある。
子供が先生の話がわかりやすかったと思うことは、ホッとする瞬間でもある。
しかし、それが子供の自立の芽を摘むものでないかと常に考える。