基礎基本で解く県相のテスト問題
県相の因数分解
県立相模原高校1年生の中間テストの問題で、ちょっと正解率が低そうだった問題です。
以下の式を因数分解するものです。
$$x^3+y^3-3xy+1$$ものすごくシンプルに解くなら、公式とされるものを暗記しておくことで対応できます。
$$x^3+y^3+z^3-3xyz=(x+y+z)(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx)$$この式の$z=1$と考えれば以下のようになります。
$$(与式)=x^3+y^3+1-3xy=(x+y+1)(x^2+y^2+1-xy-y-x)$$3項とも文字で与えられれば迷わないでも、数字になると途端に面食らう人もいますね。
この解放で解く判別のポイントとしては、以下のように考えることもできます。
- 3次ないし3乗の項が3つあること
- 4項の式であること
- うち1つは3の倍数係数を持っていること
この辺りを言語化できるぐらいを目指したいです。
なんとなく雰囲気で、ではなく形を説明できるレベルですね。
別解 共通因数でくくることを考える
では公式を覚えていないと解けないのでしょうか。
そんなつまらないことを言うなら、青木学院でなくてもいいですね。
因数分解はつまるところ共通因数でくくっていくことで解けるものです。
これを強く意識して答案を書いてみましょう。
まずは与式で3次と2次の項に注目すれば以下のように書けます。
$$(与式)=x(x^2-y)+y(y^2-x)-xy+1 ①$$与式は$x$と$y$の対称式ですから、$x(x^2-3y)$としてしまうとバランスが崩れますからね。
ここで共通因数を強引につくっていきます。
$$(与式)=x(x^2-y)+y(y^2-x)-xy+1 ①$$ $$=x\{(x^2+y^2-x-y)-(y^2-x)\}+y\{(x^2+y^2-x-y)-(x^2-y)\}-xy+1 ②$$ $$=x(x^2+y^2-x-y)+y(x^2+y^2-x-y)-xy^2+x^2-x^2y+y^2-xy+1 ③$$ $$=(x+y)(x^2+y^2-x-y)-xy^2+x^2-x^2y+y^2-xy+1 ④$$等号を維持するためには、強引に作った共通因数の$(x^2+y^2-x-y)$の$(y^2-x)$や$(x^2-y)$を打ち消す必要があります。
それが$(x^2+y^2-x-y)-(y^2-x)$や$(x^2+y^2-x-y)-(x^2-y)$の部分になります。
これを展開したのが上の式の3行目になります。
そして共通因数$(x^2+y^2-x-y)$でくくったのが④です。
ここで因数分解できた$(x+y)(x^2+y^2-x-y)$とまだ因数分解できていない$-xy^2+x^2-x^2y+y^2-xy+1$を見比べます。
そうすると、⑤以降の工夫を発見できます。
$$(与式)=x(x^2-y)+y(y^2-x)-xy+1 ①$$ $$=x\{(x^2+y^2-x-y)-(y^2-x)\}+y\{(x^2+y^2-x-y)-(x^2-y)\}-xy+1 ②$$ $$=x(x^2+y^2-x-y)+y(x^2+y^2-x-y)-xy^2+x^2-x^2y+y^2-xy+1 ③$$ $$=(x+y)(x^2+y^2-x-y)-xy^2+x^2-x^2y+y^2-xy+1 ④$$ $$=(x+y)(x^2+y^2-x-y)-xy(x+y+1)^2+x^2+y^2+1 ⑤$$ $$=(x+y+1)(x^2+y^2-x-y)-(x^2+y^2-x-y)-xy(x+y+1)^2+x^2+y^2+1 ⑥$$$(x+y+1)$を共通因数とできるように式を変形したのが⑥です。
ここから共通因数$(x+y+1)$で前半をくくりつつ、後半を整理します。
$$(与式)=x(x^2-y)+y(y^2-x)-xy+1 ①$$ $$=x\{(x^2+y^2-x-y)-(y^2-x)\}+y\{(x^2+y^2-x-y)-(x^2-y)\}-xy+1 ②$$ $$=x(x^2+y^2-x-y)+y(x^2+y^2-x-y)-xy^2+x^2-x^2y+y^2-xy+1 ③$$ $$=(x+y)(x^2+y^2-x-y)-xy^2+x^2-x^2y+y^2-xy+1 ④$$ $$=(x+y)(x^2+y^2-x-y)-xy(x+y+1)^2+x^2+y^2+1 ⑤$$ $$=(x+y+1)(x^2+y^2-x-y)-(x^2+y^2-x-y)-xy(x+y+1)^2+x^2+y^2+1 ⑥$$ $$=(x+y+1)(x^2+y^2-xy-x-y)-x^2-y^2+x+y+x^2+y^2+1 ⑦$$ $$=(x+y+1)(x^2+y^2-xy-x-y)+(x+y+1) ⑧$$ $$=(x+y+1)(x^2+y^2-xy-x-y+1) ⑨$$すると⑦後半の同類項を整理することで、⑧のように$(x+y+1)$が再び現れます。
よって⑨の形に因数分解できるわけです。
式変形は速度が身につくまで徹底的に
最初に書いたように、テスト本番で望ましいのは覚えた公式を使ってさっさと正解することです。
しかし、時には公式を適用できるか迷ってしまうこともあります。
使うべき公式が見えない時もあります。
そういうときにものを言うのが、強引な突破力です。
強引な突破力は基礎基本となる「因数分解は共通因数でくくる」ことを徹底しておくことでつきます。
速度が十分につくように演習しましょう。
日常で積み重ねた基礎基本の力が、ピンチの時に答案を救ってくれます。